「私は“ピュアマネー”と言いたい」伝説のエンジニアが「ビットコイン」をガチ解説!
【VALU】を小飼弾氏が徹底解説2/3
ビットコインは信頼性を日本銀行や政府に求めない貨幣
小飼…突然ですが、お二人は麻雀をされますか?
トオル…僕はたまにやります! いつも負けてばっかですけど…。
小飼…どれくらい勝ったか負けたというのは、点棒を使って把握しますが、各自が紙にも書いておきますよね? もちろん、その内容は全員が同じです。では、麻雀のゲームがずっと続いていたら? 「誰がいくら持っているか」をずっと記録していますよね。これも全員が同じ台帳を持ってやっている。ビットコインの正体はこの紙、ようは台帳のことなんです。
トオル…麻雀のあのくしゃくしゃの紙と一緒。一気に身近に思えてきたぞ。
小飼…そして、一般的な通貨はスーパーユーザーが取引台帳を管理していますが、ビットコインはその台帳がみんなのコンピューターのネットワーク上に置かれていることをイメージしてください。
シズカ…日本銀行みたいなひとつの組織が管理するんじゃなくて、みんなで管理しているってことね。
小飼…ただし、麻雀に参加する人は数人ですが、ビットコインには数百万人レベル、ひいては何十億人の単位でやっていく可能性もある。そうなると一工夫が必要になりますよね? これにはPtoPという個人間をつなぐネットワークを利用します。少し前に話題になった「Winny」にもこのシステムが使われていました。完全に同じではありませんが、似たような方法を使っています。
トオル…でも、なんでこんなシステムを作ったんでしょう?
小飼…スーパーユーザーが存在することの欠点は、万が一悪い人だったら貨幣全体にその悪いことが波及してしまうこと。実際にジンバブエやベネズエラで起きていますから。そんななか、「スーパーユーザーの必要ない貨幣を作れるんじゃないのか」と提唱したのがサトシ・ナカモトさんでした。ビットコインは彼の論文をもとに作られましたが、彼自身もビットコインをコントロールすることはできません。
シズカ…でも、管理してくれる人がいないとなんか不安な気もするわ……。
小飼…保存場所が違うだけで、ビットコインも通貨の発行や取引の情報は保存されています。通貨の偽造や二重払いもできません。